交通事故の問題解決のポイント

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平成27年中の交通事故発生件数53万6789件、負傷者数66万5126人に上ります。

交通事故は誰でも遭遇する可能性のある身近なトラブルで、交通事故の被害者になったとき、被害者やその身内の人たちが不安に思うのは、「これからどうなるのか」と?不安になると思います。
「怪我の状態は?」「完治するのだろうか、後遺症は残らないのか?」仕事を休まざるをえなくなったが、せいかつの保証は?「どうように解決できるのか?」「示談は自分にとって納得がいくものなのか」等、不安や疑問が尽きないと思います。

「交通事故の被害者になるのは初めて」という方が大部分だと思います。「自分だけは交通事故に遭わない」と思われています。
被害者になって、「どうしたらいいの?」と悩んでしまいます。交通事故の被害者は、ただ何となく、ながれのまま交通事故の問題を終わらせるのでなく、そうした流れの中で、その時にやらねばならないこと、やるべきことをしっかり行って解決の道を進みましょう。そうでないと後々、後悔することとなります。

交通事故問題でスムーズに問題解決を行うためには、保険会社からの損害賠償金を適正な金額を受け取ることが重要です。
しかし、適正な賠償金を受け取るためには、事故直後から適正な賠償金を得るための対応をしなければなりません。

 

交通事故直後から適正な賠償金を獲得するための5のポイント

ポイント1 後遺障害

後遺障害とは、交通事故によるけがの治療を継続して、症状が固定した後、これ以上の改善が見込めない状態で、身体的また精神的に障害が残った状態をいいます。
むちうちのような交通事故ではよくある傷害も存在します。

後遺障害において重要なのは、被害者が適正な等級認定を受けることです。
後遺障害には、1級から14級まで等級があり、1級が重いほうの等級になります。

認定された後遺障害等級によって損害賠償額が100万円単位で変わりますので、後遺障害の認定はとても大事なことです。
自賠責のみの請求時においても、等級認定の違いで賠償金額が大幅に変わります。
たとえば、交通事故被害で、むち打ちを負ってしまった場合、適切な対応を取らなければいけません。

同じ症状であっても、第14級9号(局部に神経症状を残すもの)75万円、第12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)224万円、基準が自賠責基準の場合でも非該当であれば、支給はされませんが、12級と14級では3倍近い金額の違いがあります。

後遺障害の等級認定は、交通事故直後から適切な対応を行っていれば、本来認定されたはずの等級認定がされない可能性があります。
交通事故にあったら、まず弁護士に相談する事をお勧めいたします。

 

ポイント2 賠償金計算における3つの基準を把握しておきましょう

交通事故における示談とは、事故に生じた損害賠償額を話し合いで決めることですが、この賠償額を決定するには、3通りの基準があり、どの基準を用いて損害賠償額を算定するのか重要なポイントになり、適正な賠償金を受け取るためにも、3通りの違いを理解しておきましょう。

基準1:自賠責保険基準

自賠責保険は、俗に「強制保険」とも呼ばれ、自動車やバイクを運転する時に、法律で加入することが義務付けられている保険です。
正式名称は「自動車損害賠償責任保険」と指し、自賠責保険で補償される損害は人的損害に限られ、物的損害は補償されません。
最低補償を被害者に提供するものであり、損害賠償額はおのずと低額になります。

基準2:任意保険基準

任意保険は、自賠責保険では補償されない部分を補う保険であり、加入者自らが選んで契約する保険です。
任意保険では、物損事故についても補償が受けることができます。
任意保険は、任意保険の約款に「法律上の損害賠償金を支払う」と記載されていることから、本来弁護士会基準と同様になるはずですが、現実的には自賠責保険基準を参考に独自に判断して、その基準で支払いがされているようです。
弁護士会基準と比較してかなり低くなっています。

基準3:弁護士会基準

弁護士会基準とは、裁判所の考え方や判例などを参考に、東京三弁護士会の交通事故処理委員会が、公表としているもので多くの裁判所で裁判基準として運用されているものです。弁護士会基準を使って損害賠償額を算出すると、ほとんどの場合において、自賠責基準、任意保険基準より高額になります。

 

ポイント3 賠償金の計算方法

交通事故には、人がけがを負ったりする人身事故と、人にけががなく車両や建物などに損害の出る物損事故とがあり、被害者側は次のような損害賠償を請求することができます。

人身事故損害分類図

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物損事故損害分類図

保険会社は、慰謝料や、過失利益は自賠責の基準で提示してくる場合が多く、保険会社の提示は、およそ適切な内容とはいえない場合がほとんどです。

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ポイント4 入院・通院時の損害賠償

交通事故に遭ってけがの治療のために入院や通院が必要になった場合、被害者は治療に必要な費用や、入院・通院によって仕事を休む必要が生じ、収入が減少した分の補填などを請求できます。

(1) 治療関連費

治療関連費用としては、事故によって受傷したけがの治療費・入院費、通院に関する交通費などがあります。治療費は、病院の領収書、請求書があれば必要かつ相当な実費全額を請求できます。
また、入院費についても同様にで、入院費は一般病棟の室料が基準になっているため個室については認められない可能性があります。
しかし、医師の指示ないし特別の事情(症状が重篤、空室がなかった等)があれば認められます。

通院に関る交通費においては、症状により(歩行が困難など)タクシー利用が相当な場合、実費、それ以外は電車、バスの料金。自家用車利用の場合は実費相当額を請求することができます。

(2) 休業損害

休業損害とは、交通事故によってけがをして被害者が入院期間、通院期間、仕事を休んだため得られなかった賃金や収入のことで、損害として請求することができます。
休業補償は事故前の収入を基礎として、受傷による休業のため現実に得られなかった収入額とされます。
注意して頂きたいのは、家事従業者(主婦)の場合、現実には収入がなくても休業損害は認められます。

 

ポイント5 入院・治療・けがに対する慰謝料

交通事故でけがを負った精神的・肉体的な苦痛に対し支払われる慰謝料です。
交通事故で慰謝料が認められるのは、けが・死亡・後遺障害が発生した人身事故についてです。
物損事故だけの場合には、たとえ高価な貴重な自動車、あるいは大事にしていた自動車が破損しても慰謝料の請求は認められません。

慰謝料の算定基準には、以下3つの基準がございます。
①自動車損害賠償責任保険(自賠責)
②自動車対人賠償保険(任意保険)支払基準
③弁護士会基準

※保険会社は一般的に、自賠責保険基準、または任意保険基準のいずれかを用いて計算をしているのですが、弁護士会基準と比較した場合定額になる傾向にあります。
特に後遺障害がある場合、賠償金額が大きくなる場合、弁護士会基準と比較してきわめて低額な提示しかしてこない事例が見受けられます。