部位別後遺障害 外貌・上肢・下肢の醜状

外貌醜状

外貌醜状というのは、外貌(頭部、顔面部、頚部など日常の露出する部分と、上肢・下肢の露出面に、目立つほどの傷跡が残ってしまった場合、残った傷跡を後遺障害の1つとして評価するものです。人前に出ることに対して精神的苦痛を感じるようになったり、また接客業や営業などを始めとする仕事選び、仕事の継続などに影響が出てしまう可能性もあります。
この場合、傷病名は参考にならず、見た目に対してどの程度影響があるか、という部分を判断します。

外貌醜状の後遺障害等級

区分等級障害の程度
外貌第7級外貌に著しい醜状を残すもの
第9級外貌に相当程度の醜状を残すもの
第12級外貌に醜状を残すもの
上肢第14級上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの
下肢第14級下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの

このように、後遺障害等級表上の規定は非常に漠然としていますので、実際どのように判断するかが問題となります。
下記の各項目の部分を御覧ください。

外貌醜状の後遺障害の種類

醜状障害は、その醜状の部位によって大きく、首から上、腕、脚の3部位に分けられます。部位ごとにその程度は異なりますが、基本的に醜状の面積によって判定されます。
首から上は、更に頭部、顔面、耳、鼻、首に分けられ、醜状の程度は三段階に判定されます。
腕に関しては、肩の付け根から指先まで、脚に関しては足の付根から足の甲までになります。
日常露出することがない、胸部、腹部、背部、臀部に関しては上記とは別の扱いになりますので、一番下に記載します。

外貌の醜状

外貌というのは、腕や脚以外の、頭、顔、耳、首などのように日常から露出する部分の事で、外貌の醜状は、上の後遺障害等級表にもありますが、3つの段階で認定されます。
眉毛や頭髪などに隠れる部分はどんなに酷い後が残っていても認められません。また、顎の下で正面から確認出来ない場合も除外されます。

著しい醜状

①頭部なら、手のひら大以上の瘢痕が残った、もしくは頭蓋骨に手のひら大以上の欠損が残った場合
②顔面なら、鶏の卵の大きさ以上の瘢痕、5cmの以上の線状痕、10円玉以上のくぼみが残った場合
③耳のなら、耳の軟骨の半分以上が欠けた場合
④鼻なら、鼻の軟骨の大部分が欠けた場合

これらの①~④のどれかに当てはまった場合、第7級に該当します。

相当程度の醜状

顔面の、長さ5cm以上の線状痕でひと目に付く場合

第9級に該当します。

醜状

①頭部なら、鶏の卵の大きさ以上の瘢痕、もしくは頭蓋骨に同程度の大きさの欠損が残った場合
②顔面なら、10円玉以上の瘢痕、3cm以上の線状痕が残った場合
③頚部の場合は、鶏の卵の大きさ以上の瘢痕が残った場合

第12級に該当します。

上肢の醜状

肩の付け根から指の先までの部位で、醜状痕の面積の合計が手のひらの大きさの三倍以上の場合は第12級相当に認定されます。
手のひらの大きさ以上、手のひらの大きさの三倍以下の場合は第14級となります。

下肢の醜状

脚の付根の部分から足の甲までの部位で、上記と同様に醜状痕の面積の合計が手のひらの三倍以上の場合は第12級相当に認定されます。
また上記と同様に、手のひらの大きさ以上の場合は第14級に認定されます。

露出面以外の醜状

腕も脚も、露出している部分を問題としており、また、胴体部分に関しても個別の規定がありません。
露出しない胸部、腹部、背部、臀部という部分に関しては、その面積の合計の4分の1以上に瘢痕を残す場合は第14級、
その面積の合計の2分の1以上の場合は第12級相当が認定されます。

原則このような規定になってはいますが、水着の着用が困難になるなど、日常露出しない部位でも様々な不便があり、
近年はこの規定より小さい面積でも後遺障害等級が認められる事があります。
主張しなければそれまでとなってしまいますので、まずはご相談をお勧めします。

その他

顔面神経麻痺による口の歪みや、まぶたの運動障害による目がきちんと開かなくなったり、などといった症状も外貌醜状と認定される場合があり、
それぞれの障害の認定か、外貌醜状か、等級が上位の方で認定されることになります。

醜状の後遺障害の目安

後遺障害慰謝料

参考に、自賠責保険金額の表を掲載します。

等級自賠責保険金額後遺障害
7級1,051万円外貌に著しい醜状を残すもの
9級616万円外貌に相当程度の醜状を残すもの
12級224万円外貌に醜状を残すもの
14級75万円上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

入通院慰謝料

入通院慰謝料は、それぞれの期間に従って計算される事になりますが、その計算の際の基準は複数あります。
最も低い自賠責基準、保険会社が交渉に用いる任意保険基準、弁護士が交渉する場合主張することが出来る弁護士基準の3つで、
この表は弁護士基準のものとなります。弁護士を利用しないで弁護士基準を主張しても、保険会社に認めさせることは非常に困難です。
基本的に、弁護士基準と任意保険基準の差は弁護士費用を優に上回り、二倍以上になることすらあります。

弁護士に依頼して本当に得するのか、そんな疑問も相談していただければ丁寧にご説明します。

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 通院53101145184217244266284297306314321328334340
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3月73115154188218244267287302312319326331336340346
4月90130165196226251273292306316323328333338342348
5月105141173204233257278296310320325330335340344350
6月116149181211239362282300314322327332337342346
7月124157188217244266286304316324329334339344
8月132164194222248270290306318326331336341
9月139170199226252274292308320328333 338
10月145175203230256276294310322330335
11月150179207234258278296312324332
12月154183211236260280298314326
13月158187213238262282300316
14月162189215240264284302
15月164191217242266286

逸失利益

逸失利益は、本来得られるはずだったにも関わらず、後遺障害が残った事によって得られなくなってしまった利益のことです。
事故前の基礎収入と、後遺障害等級によって決まる労働能力喪失率、受傷から67歳までの労働能力喪失期間に対応したライプニッツ係数の3つを掛けて求められます。ただ、これはあくまでも原則なので、後遺障害が特に職業上必要な作業に影響が大きい場合や、昇進の機会をふいにしてしまった場合、それによって仕事が続けられなくなった場合など、きちんと材料を揃えて主張すれば基本的な計算結果以上に補償を求めることができる場合もあります。

個々人の状況によって様々な判断が必要となりますので、気になる事がある場合はまず弁護士に相談することをお勧めします。

年齢就労可能年数ライプニッツ係数
18才49年18.169
19才48年18.077
20才47年17.981
21才46年17.88
22才45年17.774
23才44年17.663
24才43年17.546
25才42年17.423
26才41年17.294
27才40年17.159
28才39年17.017
29才38年16.868
30才37年16.711
31才36年16.547
32才35年16.374
33才34年16.193
34才33年16.003
35才32年15.803
36才31年15.593
37才30年15.372
38才29年15.141
39才28年14.898
40才27年14.643
41才26年14.375
42才25年14.094
43才24年13.799
44才23年13.489
45才22年13.163
46才21年12.821
47才20年12.462
48才19年12.085
49才18年11.69
50才17年11.274
51才16年10.838
52才15年10.38
53才14年9.899
54才13年9.394
55才12年8.863
56才12年8.863
57才11年8.306
58才11年8.306
59才11年8.306
60才10年7.722
61才10年7.722
62才9年7.108
63才9年7.108
64才9年7.108
65才8年6.463
66才8年6.463
67才8年6.463
68才7年5.786
69才7年5.786
70才6年5.076
71才6年5.076
72才6年5.076
73才6年5.076
74才5年4.329
75才5年4.329
76才5年4.329
77才4年3.546
78才4年3.546
79才4年3.546
80才4年3.546
81才4年3.546
82才3年2.723
83才3年2.723
84才3年2.723
85才3年2.723
86才3年2.723
87才3年2.723
88才2年1.859
89才2年1.859
90才2年1.859
91才2年1.859
92才2年1.859
93才2年1.859
94才2年1.859
95才2年1.859
96才2年1.859
97才~1年0.952

ご相談について

慰謝料の計算基準について入通院慰謝料のところで、様々な例外について逸失利益の項目で触れましたが、交通事故は単純にみえて非常に複雑な分野です。後遺障害の認定も、本来治療上必要でない検査を決まった期間に行わなければならなかったり、交通事故に関する専門家でなければ見落として期間が過ぎてしまう事も多々あります。治療上必要な検査は医師が当然把握していますが、後遺障害認定というのはあくまで法律上の手続きであるため、医師が知らない事も多いのです。

本当に弁護士に相談するメリットがあるケースなのか、そんな疑問もまずはご相談頂ければ丁寧にご説明します。お気軽にご相談ください。