後遺障害等級:第14級(1号~11号)認定の基準

交通事故における、後遺障害等級:第14級(1号~11号)とは?

14級は後遺障害等級の中で、最も低い等級ですが、一般的には14級でも非常に等級認定が取りにくいとされています。
後遺障害等級認定が、第三者機関(損害保険料率算出機構)による書類審査で行われることにあります。
損害保険料率算出機構が、出している自賠責保険の後遺障害等級別の件数構成比によりますと、後遺障害等級認定を受けた人の内、58.91%が14級の認定を受けています(平成25年度)
全等級の中でも半分以上を占めています

後遺障害等級認定を受けることにより、自賠責保険の保障対象は、逸失利益と後遺障害慰謝料を損害賠償として請求することができます。

 

後遺障害等級14級の9つ認定条件とは

後遺障害第14級は、障害を負った部位によって1号から9号まで分類されています。

1号:1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
2号:3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
3号:耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
4号:上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
5号:下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
6号:1手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
7号:1手の親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
8号:1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの
9号:局部に神経症状を残すもの

 

1~9号の傷害部位と認定基準

1号 1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの

1号 1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの_1 1号 1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの_2

「まぶたの一部に欠損を残すもの」とは、閉瞼時に角膜を完全におおうことができるが、球結膜(しろめ)が露出している程度のものをいい、「まつげはげを残すもの」とは、まつげ縁(まつげのはえている周縁)のほぼ1/2以上にわたってまつげのはげを残す状態をいいます。まぶたの欠損障害は、医師の視診と触診で判断され、補強資料として、写真の添付をして後遺障害の認定を求めます。

 

2号 3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

2号 3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

「歯科補綴(しかほてつ)を加えたもの」とは、現実に喪失(抜歯を含む)又は著しく欠損した歯牙(歯冠部の体積4分の3以上を欠損)に対する補綴、および歯科技工上残存歯冠部の一部を切除したために歯冠部の大部分を欠損したものと同等な状態に対して補綴したものをいいます。

なお、これらには、怪我をした時点では歯の喪失や著しい欠損には該当しないものであっても、治療の際に抜歯したものや、歯科技工上、残存する歯冠部の一部を切除し なければならず、その結果歯冠部の大部分を欠損したものと同等な状態になった場合を含み、乳歯も原則対象外です。しかし乳歯については、永久歯が生えないという医師の 証明があれば認定の対象となります。

 

3号 耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

3号 耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

これは1耳の平均純音聴力レベルが40db以上70db未満のものをされています。聴力障害は、「純音聴力検査」と「語音聴力検査」の結果を基礎として認定します。
「純音聴力検査」とは、単一周波数からなる音を用いる検査で、聴力の程度は「db」で表します。

 

4号 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

4号 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

肩の付け根から指先の範囲内に、てのひら大(指の部分は含まない)の醜いあとが残った状態をいい、醜状とは、人目につく程度以上の瘢痕、線状痕などの傷痕のことをいいます。
醜状と言えるには、ある程度、人目につくもの、すなわち、目立つものであることが必要であり、具体的には、傷痕が、上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すものであることが必要です。てのひら大きさとは、手のひらから指の部分を除いた面積を指し、計測の際は被害者のてのひらを使用し、長さではなく面積である点です。

 

5号 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

太ももの付け根から足の背の範囲内に、てのひら大(指の部分は含まない)の醜いあとが残った状態をいいます。ひざ関節より上の、ふとももの部分などは残念ながら露出面とは扱われないため、醜状があれば、上肢と同様に、露出面以外の醜状障害として認定される可能性があります。

 

6号 1手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの

6号 1手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの_2 6号 1手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの_1

親指以外の指骨の一部を失ったものとは、指骨の一部が欠けてしまった状態をいい、X線写真等の画像資料により確認できるものをいいます(遊離骨片の状態も含みます)。

 

7号 1手の親指以外の手指の遠位指節間関節(第1関節)を屈伸することができなくなったもの

7号 1手の親指以外の手指の遠位指節間関節(第1関節)を屈伸することができなくなったもの

指の遠位指間関節の屈伸が出来なくなってしまったものとは、以下のいずれかに該当する場合です。
(1)遠位指間関節が強直したもの
(2)屈伸筋の損傷原因が明らかなものであって、自動で屈伸ができないものまたはこれに近い状態にあるもの

 

8号 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの

8号 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの★中足指節関節または近位指節間関節のみ表現

足指の用を廃したものとは、以下の場合が該当します。
・中足指節関節または近位指節間関節(第1指にあっては指節間関節)の可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されるもの
・親指(第1指)の末節骨の長さの2分の1以上を失ったもの
・親指(第1指)以外の足指を中節骨もしくは基節骨を切断したものまたは遠位指節間関節もしくは近位指節間関節において離断したもの

 

9号 局部に神経症状を残すもの

9号 局部に神経症状を残すもの

局部に神経症状を残すものとは、後遺障害認定の結果を示すのものであり、事前に判別できる具体的な検査や数値があるものではなく、どんな症状を神経症状として認めるかという、明確な基準や規定はあるわけでなく、経過観察をされてきた主治医が、後遺障害診断書にどの様な所見を書けば、後遺障害が認められるかを知るすべもなく、他覚的な所見によって残遺している神経症状が医学的に説明又は証明できるとの認定基準も、医師ですら分からない領域になります。つまり、「見えにくい障害」は、その認定基準も見えにくいものになります。

交通事故におけるげがのなかでも、むち打ち・捻挫が該当します。その認定のポイントは「神経系統の障害が医学的に推定できるもの」ということになり、神経学的所見と自覚症状が一致した場合、認定されます。神経学的所見とは、「神経学的テスト」によってどの部位にどのような障害が存在するのかを判断するために行う簡単な検査結果です。
むち打ち症で認定されるケースよくあるのが9号であり、むち打ち症は、交通事故で負う後遺症で最も多い事例であり、最近は、神経学的テストの種類、精度も上がってはきていますが、示談、後遺症障害認定で揉める障害です。

 

後遺障害等級14級の損害賠償額の計算例

30歳の会社員
事故前の年収380万円

後遺障害等級14級に該当したとして仮定した場合の後遺障害に関する損害額(弁護士会基準での計算)
後遺障害等級慰謝料・・・110万円

逸失利益・・・292万775円
380万円(基礎収入)×0.05(労働能力喪失率)×15.3725(労働能力喪失期間30年間のライプニッツ係数)=292万775円

以上9つの条件を、ご説明いたしましたが、基準は比較的客観的なものが多いのですが、、むち打ち症は、交通事故で負う後遺症で最も多い事例でありますが、示談、後遺症障害認定で揉める障害です。
しかし、正確な診断と、証拠となる書類があれば、むち打ちであっても14級認定を受けることができます。