後遺障害等級:第12級(1号~14号)認定の基準
後遺障害等級:第12級(1号~14号)とは?
交通事故の後遺障害等級12級は、眼、耳、歯、指、鎖骨等、関節や骨に関する障害など、全部で14に分類されています。
自賠責保険の後遺障害等級別の件数構成比によりますと、後遺障害等級認定を受けた人の内、17.57%が12級の認定を受けています(平成25年度)この件数構成比は、14級に次ぐ比率になります。
後遺障害等級認定を受けることにより、自賠責保険の保障対象は、逸失利益と後遺障害慰謝料を損害賠償として請求することができます。
後遺障害12級で実務上において,もっとも問題になるのが,椎間板ヘルニアが画像に表れている場合です。むち打ち症の場合14級9号か12級13号の認定を狙うことになりますが、「むち打ち症」では重い症状が残った場合は12級13号、軽い場合は14級9号に認定されますが、言葉上では神経症状が「頑固なもの」かどうかの違いだけで等級が変わってしまい、慰謝料の金額も大きく違ってきてしまいます。
目次
- 1 後遺障害等級12級の14の認定条件とは
- 2 1~14号の傷害部位と認定基準
- 2.1 1号 1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの 「眼の眼球に著しい運動機能障害を残すもの」とは、眼球の注視野の広さが1/2以下に減じたものをいいます。 人の眼には,見たい距離に応じてピントを合わせる調整機能が備わっており,水晶体がその調整機能を担当し、この調整機能が失われたり,低下してしまうと,ピントが合わずに物がぼやけて見えるようになります(調節機能障害)、人の眼球は,水平,垂直,回旋という3つの運動を行うことができ,これにより正常な視野が確保されます。しかし,交通事故により眼球運動を支配する神経を損傷したり,眼球の向きを変える筋肉である外眼筋が損傷されることにより,眼球の運動が制限されて視野が狭くなるなどの障害が生じることがあります(運動障害)このどちらかの障害が認められる時に認定されます。 「眼球に著しい調節機能障害を残すもの」とは,調節力が通常の場合の1/2以下に減じたものを言います。 調節力が1/2に減じているか否かは,被災した眼が1眼のみであって,被災していない目の調節力に異常が認められない場合には,当該他眼の調整力との比較により行います。 両目が被災した場合及び被災した眼は1眼のみであるが,被災していない目の調節力に異常が認められる場合には,年齢別の調節力を示す調節力値との比較により行います。 ※眼球の水晶体を摘出し、人口水晶体を移植している場合には,その調整力がまったく失われているため,「眼球に著しい調節機能障害を残すもの」として,12球の1に該当します。 15歳~19歳→9.7 20歳~24歳→9.0 25歳~29歳→7.6 30歳~34歳→6.3 35歳~39歳→5.3 40歳~44歳→4.4 45歳~49歳→3.1 50歳~54歳→2.2 55歳~59歳→1.5 60歳~64歳→1.35 65歳~ →1.3 2号 1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
- 2.2 3号 7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
- 2.3 4号 1耳の耳殻の大部分を欠損したもの
- 2.4 5号 鎖骨、胸骨、肩甲骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
- 2.5 6号 1上肢の3大間節中の1関節の機能に障害を残すもの 7号 1下肢の3大間節中の1関節の機能に障害を残すもの
- 2.6 8号 長管骨に変形を残すもの
- 2.7 9号 1手のこ指を失ったもの 「こ指を失ったもの」とは,近位指節間関節以上を失ったものをいいます。 具体的には,次の場合がこれに該当します。 ・手指を中手骨又は基節骨で切断したもの ・近位指節間関節において,基節骨と中節骨とを離脱したもの 10号 1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
- 2.8 11号 1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの 11号 1足の第2の足指を失ったもの,第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの 「足指を失ったもの」とは,中指節関節から失ったものをいいます。 次の場合がこれに該当します。 ・片方の足の人差し指を失った場合 ・片方の足の人差し指と、親指以外のもう1本の指を失った場合 ・片方の足の中指と薬指、小指の3本を失った場合 12号 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
- 2.9 局部に頑固な神経症状を残すもの 「局部に頑固な神経症状を残すもの」とは、残存した痛み・しびれ等の神経系統の障害が、他覚的に証明されるものを指し、「他覚的に」とは、患者の訴え(自覚症状)ではなく、客観性のある所見(神経学的検査結果や画像所見)のことです。 むち打ち症は、この12級13号と14級9号が適用されますが、14級9号では、「局部に神経症状を残すもの」と規定されていることに注意が必要です。 つまり、神経症状が「頑固なもの」という言葉が入っているかどうかの違いで等級が12級から14級に変わってくるため、素人にはわかりにくく難しい部分があります。 簡単に言うと、12級は症状が医学的に証明される場合に認定され、14級は、症状が医学的に説明できる場合に認定されます。 むち打ち症で、第12級13号の認定を受けようとする場合、本人が自覚する障害以外に、レントゲン、CT、MRI等により、神経障害が起こると判断できる医学的な証明が必要になります。ただ医師による検査の結果、神経障害が起こると考えられる検査結果が出ても、それが椎間板ヘルニアと診断されるケースもあり、むちうち症の認定は等級の認定が非常に難しい病気であるといえます。 14号 外貌に醜状を残すもの
- 3 後遺障害等級12級の損害賠償額の計算例
- 4 まとめ
後遺障害等級12級の14の認定条件とは
後遺障害第12級は、障害を負った部位、症状によって1号から14号まで分類されています。
1号:1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2号:1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3号:7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
4号:1耳の耳殻の大部分を欠損したもの
5号:鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
6号:1上肢の3大間節中の1関節の機能に障害を残すもの
7号:1下肢の3大間節中の1関節の機能に障害を残すもの
8号:長管骨に変形を残すもの
9号:1手のこ指を失ったもの
10号:1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
11号:1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの
12号:1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
13号:局部に頑固な神経症状を残すもの
14号:外貌に醜状を残すもの
1~14号の傷害部位と認定基準
1号 1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
「眼の眼球に著しい運動機能障害を残すもの」とは、眼球の注視野の広さが1/2以下に減じたものをいいます。
人の眼には,見たい距離に応じてピントを合わせる調整機能が備わっており,水晶体がその調整機能を担当し、この調整機能が失われたり,低下してしまうと,ピントが合わずに物がぼやけて見えるようになります(調節機能障害)、人の眼球は,水平,垂直,回旋という3つの運動を行うことができ,これにより正常な視野が確保されます。しかし,交通事故により眼球運動を支配する神経を損傷したり,眼球の向きを変える筋肉である外眼筋が損傷されることにより,眼球の運動が制限されて視野が狭くなるなどの障害が生じることがあります(運動障害)このどちらかの障害が認められる時に認定されます。
「眼球に著しい調節機能障害を残すもの」とは,調節力が通常の場合の1/2以下に減じたものを言います。
調節力が1/2に減じているか否かは,被災した眼が1眼のみであって,被災していない目の調節力に異常が認められない場合には,当該他眼の調整力との比較により行います。
両目が被災した場合及び被災した眼は1眼のみであるが,被災していない目の調節力に異常が認められる場合には,年齢別の調節力を示す調節力値との比較により行います。
※眼球の水晶体を摘出し、人口水晶体を移植している場合には,その調整力がまったく失われているため,「眼球に著しい調節機能障害を残すもの」として,12球の1に該当します。
15歳~19歳→9.7
20歳~24歳→9.0
25歳~29歳→7.6
30歳~34歳→6.3
35歳~39歳→5.3
40歳~44歳→4.4
45歳~49歳→3.1
50歳~54歳→2.2
55歳~59歳→1.5
60歳~64歳→1.35
65歳~ →1.3
2号 1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
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「まぶたに著しい運動障害を残すもの」とは,まぶたを開いた場合に,⑴瞳孔領を完全に覆うもの又は⑵まぶたを閉じたときに角膜を完全に覆い得ないものを言います。
要は,⑴が,まぶたが十分に開かず瞳孔が隠れたままの状態,⑵が,まぶたを閉じているつもりでもまぶたは閉じておらず、瞳孔や角膜が露出してしまう状態のことを言います。
3号 7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
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「歯科補てつを加えたもの」とは、歯を喪失したものや、著しく欠損したもの(歯冠部、つまり歯茎から出ていて客観的に見える歯の体積4分の3以上を欠損し たもの)について、補てつしたものをいいます。補てつとは、欠損した部位の形態と機能を人工物で補うことをいいます。但し、第三大臼歯(親知らず)、乳歯などは、対象外になります。しかし乳歯については、永久歯が生えないという医師の 証明があれば認定の対象となります。補てつには,インレー,ポストインレー,クラウン(鋳造冠,前装鋳造冠,継続歯,ジャケットクラウン),ブリッジ,入れ歯,インプラント等があります。
また、前歯、奥歯といった場所の区別はなく、事故後、歯科医において入れ歯、差し歯、ブリッジ、インプラント等の治療を受け、日常生活に支障が感じなくなったとしても、後遺障害として賠償を求めることは可能です。
4号 1耳の耳殻の大部分を欠損したもの
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耳の耳殻(じかく)の1/2以上を欠損した状態をいい、耳殻とは、外耳の最外部(外側に張り出している部分)軟骨とそれをおおう皮膚から成り,集音器の役割を果たすものです。
耳殻の欠損は、外貌醜状の後遺障害ともとらえることができ、外貌醜状の後遺障害として認定される余地があり、外貌醜状の後遺障害は第7級~第12級があり、耳殻の欠損と比べてより高い等級が認定されることになります。なお,外貌醜状の場合は,耳殻の2分の1に達しない欠損でも外貌醜状に該当する余地があり,また,両耳の耳殻の欠損があっても併合にはあたらず,総合して外貌醜状の有無が判断されることになります。
5号 鎖骨、胸骨、肩甲骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
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鎖骨、胸骨、肩甲骨、ろく骨、けんこう骨、骨盤骨といったからだの部位にある大きな骨が、交通事故によって骨折、治癒する時に歪んでしまった場合です。
骨が,何cmずれているという基準になる数値はなく、裸になったとき、他の人が見て明らかに変形していることが確認できれば、条件はクリアしているとされています。また、変形した骨の本数は関係ありませんが、骨が変形しているだけで、日常生活に支障のない場合に認定されます。
6号 1上肢の3大間節中の1関節の機能に障害を残すもの
7号 1下肢の3大間節中の1関節の機能に障害を残すもの
3大関節とは、腕の場合は、肩関節・肘関節・手関節をいい、足の場合は、股関節・膝関節・足関節をいいます。例えば,左膝関節にけががある場合,その左膝関節を、患側(かんそく)とし,けがをされていない右膝関節を、健側(けんそく)として,ご自身の右膝関節(健側)の可動域に比して左膝関節(患側)がどの程度制限されているかを比較して機能障害の有無や程度を判定します。片腕の一つの関節において、健側に比して患側の可動域が3/4以下に制限されている場合、認定されます。
手のひらを上に向けたり、下に向けたりする運動に限っては、動かせる範囲が1/2以下になってしまったものをいい、関節に負担が大きい重労働の場合のみ補装器具が必要なもの、すぐ脱臼してしまうようになってしまったものが該当します。
8号 長管骨に変形を残すもの
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★https://tiryo.net/img/s-hizakansetsu01.gif
長管骨は、手足を構成する細長い形状の比較的大きな骨全般を指し、腕の場合は、尺骨(しゃっこつ)、上腕骨、橈骨(とうこつ)、足の場合は、大腿骨、脛骨(けいこつ)、腓骨(ひこつ)などが該当します。長骨、管状骨とも呼ばれています。
ただし、同一の長管骨に、下記の複数の障害が残存しても12級8号を認定します。
次のいずれかに該当し、外部から想見できる(見てわかる)程度以上のもの
上肢の場合
・上腕骨に変形を残すもの
・橈骨及び尺骨の両方に変形を残すもの
(但し、いずれか一方のみの変形でも、その程度が著しいものはこれに該当)
「外部から想見できる」とは、15度以上屈曲して不正癒合したものを言うとされています。
・上腕骨、橈骨又は尺骨の骨端部に癒合不全を残すもの
・橈骨及び尺骨の骨幹部に癒合不全を残すもので、硬性補装具を必要としないもの
・上腕骨,橈骨又は尺骨の骨端部のほとんどを欠損したもの
・上腕骨(骨端部を除いて)の直径が3分の2以下に,または橈骨もしくは尺骨(それぞれの骨端部を除いて)の直径が2分の1以下に減少したもの
・上腕骨が50度以上外旋又は内旋変形癒合しているもので,次のいずれにも該当することが確認されているもの
外旋変形癒合にあっては,肩関節の内旋が50度を超えて可動できないこと,内旋変形癒合にあっては,肩関節の外旋が10度を超えて可動できないこと
X線写真等により,上腕骨骨幹部の骨折部に回旋変形癒合が明らかに認められること
下肢の場合
・大腿骨に変形を残すもの
・脛骨に変形を残すもの(腓骨のみの変形でも、その程度が著しいものはこれに該当する。)
・大腿骨又は脛骨の骨端部に癒合不全を残すもの、又は脛骨の骨端部等に癒合不全を残すもの
・大腿骨又は脛骨の骨端部のほとんどを欠損したもの
・大腿骨又は脛骨(いずれも骨端部を除く)の直径が3分の2以下に減少したもの
・大腿骨が外旋45度以上または内旋30度以上変形癒合しているもので、次のいずれにも該当することが確認されるもの
外旋変形癒合にあっては、股関節の内旋が0度を超えて可動できないこと、また、内旋変形癒合にあっては、股関節の外旋が15度を超えて可動できないこと
X線写真等により、大腿骨骨幹部の骨折部に回旋変形癒合が明らかに認められること
9号 1手のこ指を失ったもの
「こ指を失ったもの」とは,近位指節間関節以上を失ったものをいいます。
具体的には,次の場合がこれに該当します。
・手指を中手骨又は基節骨で切断したもの
・近位指節間関節において,基節骨と中節骨とを離脱したもの
10号 1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
★http://www.koutsubengo.com/_p/707/images/pc/1e7b351a.jpg (手骨)
「手のこ指を失ったもの」とは、近位指節間関節以上を失ったものとされており、具体的には、次の場合がこれに該当します。
・手指を中手骨または基節骨で切断したもの
・近位指節間関節(PIP)において、基節骨と中節骨とを離断したもの
左右どちらかの小指を失った場合、認定され、小指があるとないとでは握力に大きな差があり、物がしっかり掴めなくなり支障が出ます。
「手指の用を廃したもの」とは、手指の末節骨の半分以上を失い、または、中手指節関節(MP)もしくは近位指節間関節(PIP)《おや指にあっては指節間関節(IP)》に著しい運動障害を残すものとされており、具体的には、次の場合がこれに該当します。
・手指の末節骨の長さの2分の1以上を失ったもの
・中手指節関節(MP)または近位指節間関節(PIP)の可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されるもの
(第2関節より先が健康だった頃に比べ可動域が1/2以下になった)
・手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚が完全に脱失したものも「手指の用を廃したもの」として取り扱う
(指先にある痛みや温度、触感などの感覚が完全に失われた状態)
11号 1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの
11号 1足の第2の足指を失ったもの,第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの
「足指を失ったもの」とは,中指節関節から失ったものをいいます。
次の場合がこれに該当します。
・片方の足の人差し指を失った場合
・片方の足の人差し指と、親指以外のもう1本の指を失った場合
・片方の足の中指と薬指、小指の3本を失った場合
12号 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
★http://www.koutsubengo.com/_p/707/images/pc/f93baca0.jpg (足)
「足指の用を廃したもの」とは、第1の足指は末節骨の半分以上、その他の足指は遠位指節間関節以上を失ったもの、または中足指節間関節もしくは近位指節間関節(第1の足指の場合は指節間関節)に著しい運動障害を残すものとされており、具体的には、次の場合が該当します。
・第1の足指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの
・第1の足指以外の足指を中足骨もしくは基節骨を切断したもの、または遠位指節間関節もしくは近位指節間関節において離断したもの
・中足指節間関節または近位指節間関節(第1の足指の場合は指節間関節)の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されるもの
局部に頑固な神経症状を残すもの
「局部に頑固な神経症状を残すもの」とは、残存した痛み・しびれ等の神経系統の障害が、他覚的に証明されるものを指し、「他覚的に」とは、患者の訴え(自覚症状)ではなく、客観性のある所見(神経学的検査結果や画像所見)のことです。
むち打ち症は、この12級13号と14級9号が適用されますが、14級9号では、「局部に神経症状を残すもの」と規定されていることに注意が必要です。
つまり、神経症状が「頑固なもの」という言葉が入っているかどうかの違いで等級が12級から14級に変わってくるため、素人にはわかりにくく難しい部分があります。
簡単に言うと、12級は症状が医学的に証明される場合に認定され、14級は、症状が医学的に説明できる場合に認定されます。
むち打ち症で、第12級13号の認定を受けようとする場合、本人が自覚する障害以外に、レントゲン、CT、MRI等により、神経障害が起こると判断できる医学的な証明が必要になります。ただ医師による検査の結果、神経障害が起こると考えられる検査結果が出ても、それが椎間板ヘルニアと診断されるケースもあり、むちうち症の認定は等級の認定が非常に難しい病気であるといえます。
14号 外貌に醜状を残すもの
外貌(ガイボウ)とは、手と腕(上肢)、脚と足(下肢)以外で日常的に目の触れる部位、つまり頭・顔・首などをいいます。醜状とは、原則として以下のどれかに該当するもので、人目につく程度以上の大きさのものをいいます。
12級14号では以下のような傷が残ったケースが該当します。
★http://www.jiko-online.jp/pic/gaibou1.gif
・顔に10円玉の大きさ以上の傷跡又は、3CM以上の線状の傷跡が残った場合
・にわとりの卵の大きさ以上の、頭蓋骨が欠けてしまった場合(人工骨等で補完した場合を除く)
・にわとりの卵の大きさ以上の、傷跡が頭に残った場合
・にわとりの卵の大きさ以上の、傷跡が首に残った場合
・耳殻(耳の外側に張り出している全体部分)の一部が欠けてしまった場合
・鼻軟骨の一部が欠けてしまった場合
なお、この等級では頭・顔・首など普段露出していない部位についても基準が定められています。
・両腕や両足に、手のひらの3倍以上の傷跡が残った場合
・胸・腹・背中・おしりなどの全面積の2分の1以上の範囲に傷跡が残った場合
ちなみに、以前は「女子の外貌」というように女性に限定されていましたが、2016年6月の法改正により現在は男性にも上記基準が適用されます。
後遺障害等級12級の損害賠償額の計算例
38歳の会社員
入院35日 通院日数4ヶ月
事故前の年収400万円
後遺障害等級12級に該当したとして仮定した場合の後遺障害に関する損害額(弁護士会基準での計算)
後遺障害等級慰謝料・・・290万円
逸失利益・・・847万9016円
400万円(基礎収入)×0.14(労働能力喪失率)×15.1411(労働能力喪失期間29年間のライプニッツ係数)=847万9016円
まとめ
後遺障害等級の第12級は労働能力損失率14%と判断されています。この等級では、後遺障害等級認定の判断が難しい症状が多いことも特徴ですし、たとえば、「むち打ち症」では重い症状が残った場合は12級13号、軽い場合は14級9号に認定されますが、言葉上では神経症状が「頑固なもの」かどうかの違いだけで等級が変わってしまうのです。また、むち打ち症では本人に痛みや麻痺、しびれなどの自覚症状があるものの、単純に医学的証明ができないケースもあります。
そのため、レントゲンやCT、MRIなどの画像診断や神経学的検査を実施することも必要なります。
「足指を失ったもの」とは,中指節関節から失ったものをいいます。
次の場合がこれに該当します。
・片方の足の人差し指を失った場合
・片方の足の人差し指と、親指以外のもう1本の指を失った場合
・片方の足の中指と薬指、小指の3本を失った場合
12号 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
・第1の足指以外の足指を中足骨もしくは基節骨を切断したもの、または遠位指節間関節もしくは近位指節間関節において離断したもの
・中足指節間関節または近位指節間関節(第1の足指の場合は指節間関節)の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されるもの
「局部に頑固な神経症状を残すもの」とは、残存した痛み・しびれ等の神経系統の障害が、他覚的に証明されるものを指し、「他覚的に」とは、患者の訴え(自覚症状)ではなく、客観性のある所見(神経学的検査結果や画像所見)のことです。
むち打ち症は、この12級13号と14級9号が適用されますが、14級9号では、「局部に神経症状を残すもの」と規定されていることに注意が必要です。
つまり、神経症状が「頑固なもの」という言葉が入っているかどうかの違いで等級が12級から14級に変わってくるため、素人にはわかりにくく難しい部分があります。
簡単に言うと、12級は症状が医学的に証明される場合に認定され、14級は、症状が医学的に説明できる場合に認定されます。
むち打ち症で、第12級13号の認定を受けようとする場合、本人が自覚する障害以外に、レントゲン、CT、MRI等により、神経障害が起こると判断できる医学的な証明が必要になります。ただ医師による検査の結果、神経障害が起こると考えられる検査結果が出ても、それが椎間板ヘルニアと診断されるケースもあり、むちうち症の認定は等級の認定が非常に難しい病気であるといえます。
14号 外貌に醜状を残すもの
・にわとりの卵の大きさ以上の、頭蓋骨が欠けてしまった場合(人工骨等で補完した場合を除く)
・にわとりの卵の大きさ以上の、傷跡が頭に残った場合
・にわとりの卵の大きさ以上の、傷跡が首に残った場合
・耳殻(耳の外側に張り出している全体部分)の一部が欠けてしまった場合
・鼻軟骨の一部が欠けてしまった場合
・両腕や両足に、手のひらの3倍以上の傷跡が残った場合
・胸・腹・背中・おしりなどの全面積の2分の1以上の範囲に傷跡が残った場合
入院35日 通院日数4ヶ月
事故前の年収400万円
逸失利益・・・847万9016円
400万円(基礎収入)×0.14(労働能力喪失率)×15.1411(労働能力喪失期間29年間のライプニッツ係数)=847万9016円
そのため、レントゲンやCT、MRIなどの画像診断や神経学的検査を実施することも必要なります。