後遺障害等級:第4級(1号~7号)認定の基準

交通事故の後遺障害等級4級は、眼、耳、手足等の障害を負った部位によって1号から7号に分類され、労働能力喪失率も92%となり、重度の後遺障害に認定されます。被害者にとっては、将来的に働いて収入を得ることは難しい状態と思われます。
自賠責保険の、後遺障害等級別の件数構成比によりますと、後遺障害等級認定を受けた人の内、0.17%が、4級の認定を受けています(平成25年度)

後遺障害等級認定を受けることにより、自賠責保険の保障対象は、逸失利益と後遺障害慰謝料を損害賠償として請求することができます。

後遺障害等級4級の7の認定条件とは

等級部位障害の程度
4級視力の障害両眼の視力が0.06以下になったもの
口の障害咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
耳の障害両耳の聴力を全く失ったもの
上肢の障害1上肢を肘関節以上で失ったもの
下肢の障害1下肢を膝関節以上で失ったもの
下肢の障害両足をリスフラン関節以上で失ったもの

両眼の視力が0.06以下になったもの

交通事故によって、両眼の視力が、矯正視力で0.06以下から0.02を超える数値です。0.02以下であれば等級は第2級号になりますし、0.06以上であれば等級は下がります。

食べ物を噛み砕き、飲み込む機能と、言語を発声するのに大きな障害を残すもの

咀嚼とは、食べ物を噛んで飲み込む機能と、言葉を話す機能に障害が残った場合に認定されます。両方とも口や顎あるいは舌といった部位を使う機能ですので、咀嚼機能に障害が出れば言語機能にも影響が出てくるのはよくあることです。咀嚼機能と、言語機能の両方の機能に問題が残った場合に認定されます。

具体的には、柔らかい食物(たとえば、お粥、豆腐、柔らかい肉)は食べることはできますが、歯ごたえのある食材などは食べることができない状態です。

言語の機能に障害を残すものとは、4つの子音のうち2つが発音できなくなった状態が該当します。

4つの子音とは、具体的には次の通りです。
・口唇音/ま行音・ぱ行音・ば行音・わ行音、ふ
・歯舌音/な行音・た行音・ら行音・ざ行音・しゅ・じゅ・し
・口蓋音/か行音・が行音・や行音・ひ・にゅ・ぎゅ・ん
・咽頭音/は行音

咀嚼障害と言語障害の両方の障害が残った場合、認定されます。

両耳の聴力をうしなったもの

・単純な音が聞き取れるか(純音)、言葉を言葉として聴き取れるか(明瞭度)の2種類の検査を行い、両耳の平均純音聴力レベルが90dB以上のもの、
・または、両耳の平均純音聴80dB以上であり、かつ、最高明瞭度が30%以下のものをいいます。

どちらかの条件が満たされた場合、認定になります。

片腕をひじ関節以上で失ったもの
片脚をひざ関節以上で失ったもの

上肢をひじ関節以上で失ったものとは、以下のような状態をいいます。

・肩関節において、肩甲骨と上腕骨を離断したもの(腕の付け根から上肢すべてを失った場合)

・肩関節とひじ関節との間において上肢を切断したもの(腕の付け根からひじまでのどこかで切断された場合)

・ひじ関節において、上腕骨と橈骨および尺骨とを離断したもの(およそひじ関節を切断し、ひじから先を失った場合)

片方だけの欠損障害でも認定されます。

下肢をひざ関節以上で失ったものとは、

・股関節において、寛骨と大腿骨を離断したもの(脚の付け根から下肢すべてを失った場合)

・股関節とひざ関節との間において下肢を切断したもの(脚の付け根からひざまでの間のどこかで切断された場合)

・ひざ関節において、大腿骨と脛骨及び腓骨とを離断したもの(およそひざ関節を切断し、ひざから先を失った場合)

片方だけの欠損障害でも認定されます。

両手の全ての指の機能が殆ど失われてしまったもの

・手指の末節骨の半分以上を失い、または、中手指節関節(MP)もしくは近位指節間関節(PIP)《おや指にあっては指節間関節(IP)》に著しい運動障害を残すものとされており、具体的には、次の場合がこれに該当します。
手指の末節骨の長さの2分の1以上を失ったもの
中手指節関節(MP)または近位指節間関節(PIP)《おや指にあっては指節間関節(IP)》の可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されるもの

両足をリスフラン関節以上で失ったもの

両足の、足首からリスフラン関節の間で切断されてしまった場合、認定され、部分的には狭い範囲ですが、歩くために必要な部分を失うことになりますので、この部分があると無いとでは大きな違いがあります。
※リスフラン関節とは、足の甲の中央あたりにある関節です。

後遺障害等4級の損害賠償額の計算例

50歳の会社員

事故前の年収800万円

後遺障害等級級に該当したとして仮定した場合の後遺障害に関する損害額(弁護士会基準での計算)

後遺障害等級慰謝料・・・1670万円

逸失利益・・・8297万7376円
800万円(基礎収入)×0.92(労働能力喪失率)×11.2741(労働能力喪失期間17年間のライプニッツ係数)=8297万7376円

まとめ

後遺障害第4級は、介護の必要のないレベルとは言え、労働能力喪失率は92%と、視力や言語、身体に深刻なダメージを残しているので、事故前の日常生活に戻る事はまず不可能なレベルの後遺症です。被害にあわれた方にとって、将来的に働いて必要な収入を得ることは非常に困難かと思われます。将来的にかかるであろう金額についても、しっかり計算して請求しましょう。