交通事故にあった場合に被害者、加害者がやるべきこと
交通事故にあった直後には、被害者(加害者)がしなければならないことはいろいろありますが、混乱しないように事故現場・事故の手続きの流れについて説明します。
■事故発生から解決までの流れ
交通事故発生
↓
事故現場の確認・写真撮影(保全)
↓
警察への通報(報告義務)
↓
病院での診断
↓
保険会社への報告
警察に診断書を提出
↓
治療(通院)
↓
症状固定(後遺障害等級認定申請)
↓
任意の示談交渉
↓
ADR・調停・訴訟
↓
示 談
■被害者は、事故現場では何をすればよいのですか?
事故現場でしなければならない5つのこと
突然の事故に遭った場合、気が動転して、何をどうしていいのか分からないと思いますが、次のことさえしておけば安心です。
1.事故現場の状況の確認・保存
・交通事故の場合、どちらがどの程度悪かったという点が必ず問題になり、事実関係をはっきりさせておく必要があり、事故現場の状況は、警察が来るまで、できるだけそのままの状態を保ちましょう。
・事故状況、車の破損状況によっても怪我の重大性が判断されるため、事故の状況全体や車の破損個所をしっかり写真撮影して、有利な証拠を残しておきましょう。
・その日の天気、路面が濡れていないか等の状況、どの程度の交通量であったかについても記録しておくとよいでしょう。
・事故が発生した状況についても忘れないようにメモしておきましょう。信号は何色だったのか、どちらが優先道路か、自分と相手の車はどのくらいの速度が出ていたのか等、過失割合の重要な判断要素となるので、しっかり記録しておいてください。
2.加害者と加害車両を確認
・氏名、住所、連絡先、ナンバー、車種、車体の色、特徴、運転免許証、身分証明書、自動車検査証、自賠責保険証、任意保険証の確認し、加害車両の所有者を確かめ、また加害車両にかけられている自動車保険の内容や契約している保険会社に確認をされたほうが良いでしょう。
3.警察に届出及び事故状況の報告
加害者は交通事故を起こしたら、道路交通法(道路交通法72条1項)によって事故の内容などを、近くの警察に届け出る義務があります。
・なお、警察への届け出は法律上の義務であるというだけでなく、任意保険・自賠責保険を問わず保険金を請求する際の必要書類である「交通事故証明書」の交付が受けられなくなるという不利益につながるので、必ず行ってください。
・警察の質問に対しては、しっかり答えましょう。警察は、事故現場において事故の状況を記録する実況見分調書というものを作成しますが、きちんと質問に答えて、しっかり説明をしないと真実ではないのに相手に有利な事故状況を記録した調書が作成されるかもしれません。
・警察には、「人身事故」の届出を出しましょう。軽い事故でほぼ怪我がないと思っていてもしばらくしてから痛み出すこともあります。「人身事故」の届出をしていないと「物損事故」として取り扱われ、軽い事故と認定され、慰謝料等の請求の際に不利になることがあるので、少しでも怪我があると思われる場合には「人身事故」の届出をしておきましょう。最初に診察してもらった病院で診断書をとって警察の交通課に行って届出をすることができます。
4.保険会社への連絡
・警察への連絡と加害者の情報を入手したところで保険会社に連絡を入れましょう。加害者の任意保険会社から治療費等を支払ってもらうので、必ず連絡を取る必要があります。
慰謝料は、治療期間等により算出されるので、治療が終了し、症状固定となってから保険会社に請求することになます。
・ここで、くれぐれも注意する必要があることが、保険会社はあくまで加害者側の保険会社であって、被害者の方の味方ではありません。できるだけ支払金額を少なくしようとしているので、すべてを信じることはしないようにしましょう。少しでも納得いかない点があれば、弁護士に相談することをおすすめします。
5.通院
・病院にはかならず行きましょう。外傷はなくてもむち打ち、脳内出血、骨折を起こしている可能性もあります。後遺症等があると診断された場合は、診断書を貰いましょう。
事故直後に行かず、しばらく時間が経過してから病院に行っても事故による怪我ではないと判断されることもあるので、事故に遭ったらとりあえず病院に行きましょう。
■加害者は、事故現場でやらなければならないことは何ですか?
緊急措置義務(道路交通法第72条1項)
1.車両等の運転の停止
・交通事故にあったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員は直ちに車両等の運転を停止し、事故の被害者の状況や被害車両の損傷の程度を確認をしなけ ればなりません。
2.負傷者の救護
・人身事故を起こしてしまった場合、第一に人身救護措置になります。
3.二次被害の発生を防止するため、後続車の誘導を行います。事故車両は警察が到着するまで事故現場は、動かさないほうが良いのですが、周りが迷惑になるような場合は、事故 当時の現場写真でできる限り記録を残しておきましょう。
上記の緊急義務に違反した場合、法律違反で罰則が課されますので必ず実行しましょう。(道路交通法第172条2項)
警察への報告義務
1.交通事故が発生した日時と場所
2.死傷者の数と負傷者の傷の程度
3.破損した物とその破損の程度
4.その事故に関わる車両の積載物と事故についてとった措置
上記の報告義務に違反した場合、法律違反で処罰が課されます。(道路交通法117条2項)
■事故後にどのような手続きが必要ですか?
1.交通事故証明書の申請
2.保険会社への通知(加害者、被害者それぞれ自分が加入している保険会社・事故通知は60日以内に)
示談に必要な書類は被害者側で用意する。
示談交渉を進める場合、損害を証明する書類が必要になり、保険会社の要求に応じて被害者側で用意をすることが基本になります。
・必要書類を準備
交通事故証明書(各都道府県の自動車安全運転センターの発行)
※交通事故発生日時・場所・当事者(加害者・被害者)の住所・氏名・事故の種類・自賠責保険の有無・証明書番号について証明するものであり、加害者と被害者の過失割合について証明するものではありません)
★http://ord.yahoo.co.jp/o/image/_ylt=A2RCL6pLS9FX9VMArwWU3uV7/SIG=12pca7ofd/EXP=1473420491/**http%3a//ok-jidan.com/wp-content/uploads/2015/04/madoguchisinseisyo.gif
★http://ord.yahoo.co.jp/o/image/_ylt=A2RCMY5qRdFXqRoAvDqU3uV7/SIG=135f8nq2u/EXP=1473418986/**http%3a//www.dai-ichi-life.co.jp/contractor/claim/insurance/image/document_img5.gif
診断書(死亡診断書)
診療報酬明細書
領収書類
収入証明
休業証明書
戸籍謄本(除籍謄本)
・賠償請求額の算出
・損害賠償額の算出
・保険会社からの提示金額の検討
・保険会社との交渉
■事故の際には誰が病院の支払いをするのでしょうか?
・通常,相手に過失があり、任意保険に加入している場合には、病院が保険会社に診療報酬を請求して保険会社が病院に支払いをしてくれます。整骨院、接骨院も同様です。なので、通院する病院、整骨院はきちんと保険会社に報告しましょう。
・しかし、様々な原因がありますが、保険会社が治療費の支払い等の手続きをしてくれず、立替えることが必要な場合があります。治療費等を立替をした場合、領収書は貰っておくようにして下さい。このような場合には、治療終了後にまとめて保険会社に損害賠償金のすべてをまとめて請求することになります。
■交通事故を起こしてしまったらどのような責任が生じますか?
交通事故を起こした運転者が負う責任は、民事上の責任、刑事上の責任、行政上の責任の3つに分けることができます。
1・民事上の責任(損害賠償)
「交通事故によって被害者が受けた損害を賠償しなければならない」というものです。 被害者が被った損害には、けがの治療費・通院費や自動車の修理代のほか、 慰謝料、会社を休んだため支給されなかった給料などが含まれます。 これらの損害を回復するために、被害者に賠償金を支払うことが民事上の責任です。
2・刑事上の責任(懲役刑・禁錮刑・罰金刑)
交通ルールに違反して、相手にけがをさせてしまったという場合などに、 刑事罰が加えられるというものです。刑事罰には、罰金刑や懲役刑などがあります。
具体的な罪名として,
・過失運転致死傷罪
7年以下の懲役又は100万円以下の罰金
・危険運転致死罪
危険運転により相手に傷害を負わせた場合1か月以上15年以下の懲役
危険運転により相手を死亡させた場合1年以上20年以下の懲役
があります。
3・行政処分(免許の取り消し・一定期間の停止)
交通ルールに違反して事故を起こした場合に、違反の点数が加算されたり、罰金処分を科せられたりして、運転免許が取消されたり、 一定の期間自動車を運転することが許されなくなるというものです。
これら3つの責任は、それぞれの目的が異なりますので、たとえば刑事手続で不起訴になったからといって、 民事上の責任も負わないということには必ずしもなりません。
■弁護士への相談はいつしたらいいのでしょうか。
・交通事故に遭って、慰謝料等の損害賠償金を請求する場合、通院日数や通院期間等によって算定される金額が変わってきます。そうすると、事故直後から弁護士に相談して、どの程度の頻度で通院すべきなのか、病院と整骨院はどのような割合で通院すればいいのか等のアドバイスを受けることをおすすめします。
・保険担当者からの連絡に対応するのが億劫であったり、様々な要求をしてくるから嫌な方、保険会社が言ってくる過失割合に納得できない方、治療の打ち切りを言われたが、まだ通院したい方は、弁護士に相談することをおすすめします。